OWNED WORK

あるごん あるごん

APP

プログラミングの「概念」や「イメージ」の学習に特化したスマートフォン用知育アプリ

2020年に控えるプログラミング教育必修化に向けて制作した、スマートフォン用知育アプリ。企画からリリースまでの全工程を自社で開発。多くのプログラミング学習ツールが対象とする年齢以下(4才~ 9才)をメインのターゲットとし、プログラムの「概念」や「イメージ」の学習に特化。プレプログラミング学習(プログラミング学習前の準備学習)をコンセプトとして、簡単な操作で遊びながら学習可能なゲーム形式のUI/UX設計となっている。イオン幕張新都心で開催されたイベント「WOMAM FESTA 2017」に出展し、今後も鋭意出展予定。

HOW IT WORKS

  • キャラクターを走らせる。コースによって岩や水たまりなど様々な障害物が待ち構えている。

  • 「はねる」「泳ぐ」等、色ごとに個性を持ったキャラクターをコースに配置。スタートするとリレー形式でキャラクターが動き出す。

  • 色ごとに個性を持ったキャラクターが、障害物を交わしながらゴールを目指す。

STAFF

OVERVIEW

4歳から遊べる知育アプリで、「プログラミング」を体感!

「あるごん」は、4〜9歳を対象に開発された知育アプリ。子どもたちがプログラミングの概念やイメージについて、ゲームを進めながら自然と身につけていけるように設計されている。ズバリ、このアプリが一般的な知育アプリと一線を画している点は、利用対象を10歳未満向けとしたこと。さらに、プログラミング学習の前段階に着目したことである。

昨今、2020年度からのプログラミング教育必修化を背景にして、プログラミング学習ツールの需要や注目度は高まりながら、適当なアプリが存在していない現状があった。「初心者向け」「簡単レベル」を謳った、プログラミングを扱う知育アプリ自体は少しずつリリースされていても、大半が「プログラミング=言語が書ける、言語を覚えること」に力点が置かれがちだ。そうした現状への疑義と、10歳未満向けアプリの不足という背景に応えたくてアプリ開発へと挑んだという。

「子ども、大人に関係なく、プログラミングを学ぶ際のボトルネックは“出発点”です。つまり、書き方や覚え方の前に、“プログラミングとは何か”を感覚的につかむこと(出発点)こそが重要だと考え、企画/開発を進めました」(計良)


ゲーム内のオブジェクトを指でドラッグ&ドロップしながら、プログラミングの作法を感覚的につかんでいくのが、アプリの狙いだ

大切なのは、子どもたちが「気持ちよく」「迷わず」操作できること

本格的な開発にあたっては、市場調査をはじめ、幼稚園関係者などとのヒアリングも敢行。根本的なプログラミングを扱うアプリに対する需要や、企画の妥当性についての根拠や裏づけを固めながら、具体的な開発へと着手した。

肝心なのは、アプリの軸である「プログラミングを感覚的に体感できること」をどう構成するか。そこで、ゲーミフィケーションの観点に基づき、10歳未満の子どもたちがアプリを進めていきたくなる世界観と難易度(レベル)の設定を融合しながら、理想形を目指した。

「徹底したのは、4歳の子どもがいきなりやってもできるレベルを用意すること。あとは、子どもから質問があった場合、プログラミング初心者やゲーム慣れしていない親でも難なく教えられる、子どもにも大人にもシンプルで操作しやすいルールに仕上げることです」(計良)

一通りのルールを説明しよう。

アプリ起動後、4つのエリアが出現。任意のエリアを選び、各エリア内にある複数のコースを順番にクリアしていく。例えば、「はじめてエリア」の最初のコースは一本道が出現。画面下には、「はしる」「はねる」と名づけられた「あるごん」(オブジェクト)が用意されている。指で任意のあるごんをドラッグ&ドロップして、コース上に配置すると、行動してほしい向きを指定。すべての操作完了後、「じっこう」ボタンを押すとプレビューとなり、ゴールに到達できればクリアとなる。


オブジェクト配置後に、進めたい方向の指示まで行わせるのは、最初から最後までの指示を“きちんと”指定して初めて、「その通りに“のみ”実行される」というプログラミングの原理や作法を、ゲームの世界観で感覚的に伝えたいからだ


いくつかのコースをクリアすると、「たべる」など別の動きができるあるごんがゲットできる仕組み。障害物のあるコースは、デフォルト以外のあるごんも組み合わせないとクリアできない

子どもの指で動かしやすい「UX」を提供する

世界観やルールに加えて重要となるのが操作性。小さな手でスマホを持つ子どもにとって、最適なUIでありUXとなりえることだ。

「大人と子どもでは、指の大きさ、指でオブジェクトを移動させるための張力や筋力が違います。子どもの年齢別でも大きく異なる点を十分に考慮しながら、子どもの使いやすさを追求しました」(高橋)

一方で予算の制限で、決して数多くの子どもたちの協力を得ながら検証できないハンディを、数えきれないほどの検証を重ねることでカバー。これらの試行錯誤が一定の成果として確認できたのが、イオン幕張新都心で開催されたイベント「WOMAM FESTA 2017」での出展だった。

「イベントでの子どもたちのプレイの様子を観察しながら、今後のチューニングに向けた課題を洗い出す機会となりました。嬉しい手応えは、想像以上に子どもたちの反応が好感触であったこと。また親の反応のほとんどが好意的で、操作性を含めた中身について繰り返しの検証の成果が出ていました」(計良)

「一方で、コース上にオブジェクトが置きづらい、といった要望も複数で確認しました。そこで、折に触れて気づいた点が修正できる体制づくりにも着手しました」(高橋)

先を見据えた教育……カスタマイズ版開発などの可能性

子ども目線に加え、子を持つ親の目線にも配慮したのが、無償版として提供した点。もちろん、アプリ内の広告表示は一切なく、アイテム課金などの仕組みも最初から実装していない。徹頭徹尾、子どもが安心して使えるアプリを体現した。

特に低年齢層の親、教育関係者がプログラミングへの関心を高めているのは、予想に難くない。そもそもプログラミングの効果を謳う、リアルの知育玩具は高価だ。子を持つ親には悩ませどころだが、ブラッシュアップにも余念のないアプリ「あるごん」の存在は貴重で心強いはずだ。

知育系の塾など教育関係先では、「あるごん」をベースにしたオリジナルの知育アプリという協業が可能ではないか? 例えば、塾に通う子どもたちに、その塾オリジナルのコース(カリキュラム)を設けた、カスタマイズ版「あるごん」の提供は一案だ。

開発チームの総意としては、プレプログラミングを通じて、今後も子どもの知への探究心を開花する手助けとして「あるごん」の有用性にさらなる磨きをかけていく覚悟だ。

 

Interview / Text : Yoshihiro Endo

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